福岡高等裁判所 平成元年(う)346号 判決
所論は,要するに,原判決は,累犯前科について,「被告人は(1)昭和59年5月22日福岡地方裁判所において道路交通法違反罪により懲役4月に処せられ,昭和59年9月26日右刑の執行を受け終わり,(2)その後犯した覚せい剤取締法違反罪により昭和60年3月22日福岡地方裁判所において懲役3年6月及び罰金10万円に処せられ,昭和63年7月26日右懲役刑の執行を受け終わった」と判示したうえ,法令の適用中で,原判示の罪が,右(1)(2)の前科との関係で三犯であるとして,刑法59条,56条1項,57条を適用して三犯の加重をしているが,右(2)の覚せい剤取締法違反罪は,昭和59年5月8日に犯されたものであって,右(1)の刑の執行終了後に犯されたものではなく,したがって,原判示の罪は,右(1)(2)の前科との関係で再犯であって三犯ではなく,三犯の加重をすべきではないから,この点で,原判決には,法令の適用の誤りがあり,右誤りが判決に影響を及ぼすことはあきらかである,というのである。
そこで検討するに,検察事務官作成の前科調書及び判決書謄本によれば,所論の主張するとおりの事実が認められるから,原判決には,刑法56条1項,57条により再犯の加重をすべきところを,刑法59条,56条1項,57条により三犯の加重をした点で,法令の適用の誤りがあるといわざるを得ないけれども,再犯の加重も三犯の加重もその加重の内容は同一であり,処断刑に何ら差異を生じないばかりでなく,右(1),(2)の各前科は,その処断刑の範囲内において,いずれも累犯として量刑上当然考慮されるべきものであることに変わりはないから,右誤りが判決に影響を及ぼすこと明らかということはできない。結局論旨は理由がない。